吉池安恵ブログ 第十三回

第十三回 あなたはお冷やご飯をどうしますか?


温かいご飯のおいしさは日本人なら誰でも知っています。イタリアンやフレンチ、西洋料理でパンに慣れきった若者でもやっぱりご飯大好きという人は多いようです。でも、炊きたての美味しいご飯は時間とともに冷めてきます。翌日には完全に冷め切っています。冷えた残りご飯をあなたはどうしますか。もう冷たくなったからと捨てますか。勿論そういう人もいるでしょう。でも、多くは無いはずです。電子レンジで温めたり、チャーハンにしたり、おじややおかゆにしたり、ドリアにしたり色々工夫して美味しく食べようとします。そのお陰で、炊きたてのご飯に無かったものに変身し、より美味しくなることさえあります。そんな時「やった!」と嬉しくなることはありませんか。


カップルの関係にも似たところがあります。一緒になりたての頃は熱々で、何もかも嬉しく、相手の良いところが一杯見えて幸せです。でも、時間と共にその気持ちが段々冷め、あらが見え始めます。

なんでこの人と一緒になったのだろう。このまま、冷たい関係を続けていっていいのだろうか。ちょっと後悔の念が芽生えます。このとき、関係の解消に突き進む人。それはお冷やご飯を捨てるようなものです。冷やご飯は捨てて新しいのを炊けばいい。それも解決法の一つです。でも、大抵の人は捨てません。前にも触れたように、丁度よかった!冷凍ご飯を解凍して一緒にチャーハンにしよう。そう考える人は多いでしょう。チャーハンには卵や、ハムや、タマネギ、人参、ピーマン色々入れて、形も味も最初のご飯とは違います。でも、時にその方が美味しい!と思う人は多いはずです。炊きたてのご飯もいいけれど、チャーハンもいいね。子どもたちは大好きかもしれません。冷めたお握りだって馬鹿には出来ません。塩味が程よく、私は好きです。冷やご飯を再生させたドリアは我が家の定番!という人もいるかもしれません。冷やご飯を捨てなくて良かったと思うことでしょう。一寸手を入れ、工夫することで変るのです。

でも、お冷やご飯をそのままにして置いたら干からびてかちかちになり、使い物になりません。夏なら腐ってしまいます。そうなってからではとても食べられません。


カップルの関係も同じようなものです。最初のパッションが薄れ、あらが見え始め、なるべく見ないように避けて距離を置き始め、そのままにしていたら、益々関係は冷たく、あらはどんどん大きく見えるようになっていきます。実は、その前に工夫が必要なのです。関係改善に一工夫。でもどうしたらよいか分からない。ただはっきりしていることは何かを変えなければならないと言うことです。そのお手伝いをするのがカップルカウンセリングです。一緒に冷やご飯の再生レシピを考えます。カップルのどちらも満足する関係の改善レシピを考えるのです。そのためにはカウンセラーとクライアントの協力が必要です。どう変えたいのか、どんな人生を生きたいのか。どのレシピが自分たちには合っているのか。そのために何をしなければいけないのか。一緒に考えるのです。


Love(愛)は形を変えるものです。最初の頃のPassion(パッション)から穏やかなAffection(情愛)、そしてCompassion(思いやり)へと形は変りますが、川の流れのようなもので同じLove なのです。


勿論、もう干からびて、かちかちになっているのを勿体ないからと放置したまましておいたり、どうしようもなくなっているのに冷蔵庫の隅に置き続けるのは意味の無いことです。既に腐ってしまっているのに、ただ捨てられないという理由から、腐るに任せて置くのも馬鹿げたことです。そんな時は思いっきりよくサッサと捨てて、新しい美味しいご飯を炊きましょう。ただ、次は干からびさせないように、腐らせないようにという努力はしたいものです。


人生100年時代。残りの人生は何年ありますか?その人生をどう生きたいですか?Mary Oliverという詩人をご存知の方も多いことでしょうが、彼女の詩“The Summer Day”の中に

Doesn’t everything die at last, and too soon?

Tell me, what is it you plan to do

with your one wild and precious life?

すべてのものはいずれ死ぬのでしょう? しかも、あまりにも早く。

教えて。あなたは何をするつもりなの?

たった一度しかないあなたの自由奔放で貴重な人生で。

(メアリー・オリバー 中村佐知訳)

というのがあります。人生は長いけれど一度きり。それをあなたはどう使おうとしているのですか?

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